「吉村組」のDNAを受け継ぎ、若い鳶職人が夢を持って働ける環境をもっと作っていきたい。

吉村組に入社し、独立した大城さん。夢をまっすぐ持ち、ストイックに努力を重ね、現在は沖縄で会社を経営しています。

自分を追い込むため、名古屋へ。

大城さんはもともと沖縄ご出身ですが、名古屋に来られたきっかけを教えて下さい。

16歳の時に鳶の世界に入り、21歳の時に後輩を引き連れ独立しました。スタート時から周りの人に恵まれ、上手くいきすぎるくらいにうまくいったんです。しかしふと振り返り、自分が調子に乗っているのに気付いたんですよ。このままでは成長しない。もっと修業が必要だと考えました。そこで後輩たちは知り合いに任せ、思い切って沖縄を離れることにしました。

修行先に名古屋を選んだ理由としては、建物の高さが沖縄と違い、工場も多い地域なので、ここでなら最先端の技術が習得できると思ったからです。誰も自分を知らない土地で、どのくらい自分が認められるのか試したかったことも大きいです。沖縄は助け合いの精神が溢れていてみんなに支えてもらっていましたが、環境が全く違う中で、自分がどこまでできるか挑戦したいと考えました。

ご自身を追い込むため、敢えて沖縄を離れたのですね。そんな中、吉村組を選ばれた理由は何だったのでしょうか。

たまたまコンビニの雑誌で求人情報を見かけたのがきっかけです。他にも候補は4社ありましたが、吉村組は半世紀の歴史がある老舗で、職人も50人、30年以上携わっているベテランの職人もたくさんおられる会社であることに、魅力を感じました。

吉村組での修行と、湧き上がってきた想い

吉村組に入社されて、いかがでしたか。

大変でしたが、職人同士の派閥がなく、色々な人に可愛がってもらえて、自分でも実力をつけてこられたと思います。最終的には職長として、親方の人々をまとめるポジションをいただくまでになりました。一方で、自分が学んだことを沖縄に持ち帰り、沖縄の人に県外の情報やパイプを作りたいという夢が新たに見えてきたんです。

更に上の目標が見えてきたのですね。

自分は人に恩を感じるタイプで、いつか沖縄に恩返しがしたい、そんな思いを持っていました。沖縄の若い子達に、自分みたいに目標を持って頑張ればこんな風になれるんだよ!と伝えていける存在になりたいと思っていたんです。吉村組で働いて改めて、この思いを再確認しました。

沖縄で独立をしたい、その想いをどのように実現に繋げていったのでしょうか?

沖縄に帰る前に社長宅に泊まらせていただき、お酒を飲みながら今までの感謝を伝えました。さらに「10年以内にはぜひ沖縄から名古屋に派遣できるくらいに成長して、絶対に助けに行きます」と話したんです。そしたら社長が「俺がお金を出すから帰ったらすぐに独立しろ」とおっしゃったのですが、さすがにそこまでしてもらうのは、と話し合ったところ「じゃあ沖縄営業所を作る。そこをお前に任せるよ。3年以内にお客さんと従業員を育てて、自分で営業して仕事を取って来られるくらいの組織を作ってみろ」と言ってくださったんです。やはり人は支え支えられて生きていくものなんだと、改めて実感した瞬間でした。

吉村社長も、大城さんと同じく熱い志を持った方なのですね。

吉村社長は名古屋のお父さんだと思っています。入社当時、吉村組に対しての感想を率直に社長に伝えてみたんです。社長にとっては耳の痛い話も含んでいたと思います。それでも自分が入社したからにはこの会社を良くしたいし、良くできる自信があったのでイチかバチかで伝えてみました。そしたら社長は、何も言わずに受け入れてくれたんです。入社間もない自分の意見を取り入れ、実行してくれたことに感動しました。だから沖縄で独立するとき「ぜひ、『吉村組』を名乗らせてください」と頼み込んで社名に使わせていただきました。「吉村組」のDNAを沖縄にも広め、自分がもらったこの恩を、後進にも渡してあげたいとの思いも込めています。

独立希望の方へのメッセージ

どんな人が独立に向いていると思いますか?

情熱を持った人ですね。また、ハンデやハングリー精神がある人の方が向いていると思います。自分の体感ですが、鳶職人の7割は独立して社長になりたいと思っている人が多いように感じます。ただ「独立」に「自由」のイメージを抱いている人が多いようにも思います。組織だとうまくやっていけないから、縛られずに一人でやりたい。だから一人親方になりがちです。ただ、それでは「組織」の景色は見えません。一人でやっていると常に仕事がある状態なので楽ですが、組織の作り方がわからないので、結果的にずっと「一人親方」という状態です。特に沖縄ではあまり「組織化」という概念がありません。若い鳶職人を育て、やりがいを持って働ける環境を作るためにも、僕は独立したあと組織を作りたいと思っていました。

独立といっても結局は人と人との間にしか仕事は生まれません。技術をはじめ、経営や営業といった経験もさることながら、組織の中で人と人との関係を学べる環境に身を置ける吉村組は、独立を目指している人には最適な環境だと思います。

今後の夢を教えて下さい。

現場作業員は現在8名ですが、今後30名にしていきたいです。新しく入ってくれた社員は、沖縄吉村組から経験として本社吉村組に研修として1か月ぐらい行ってもらっています。プライドを持って、名古屋の役に立てるような人間を育てていきたい。そして吉村組でもらったものを活かし、若い鳶職人が夢を持って働ける環境をもっと作っていきたいです。私が背中を押されたように、私自身がこれからを担う若い背中を押せる存在に成長していきたいですね。

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